安倍晋三内閣が7月1日の臨時閣議において、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を強行したことに対し、日本消費者連盟は同3日、日本の消費者、生活者として同決定に強く反対する以下の声明を発表しました。
声明
「日本消費者連盟は集団的自衛権行使容認に対し、
くらしの足元から反対の声を上げ、粘り強く運動を積み上げます」
7月1日、安倍内閣はたくさんの反対と抗議の声を無視して、集団的自衛権の行使を、認める閣議決定を強行しました。私たち、この列島に生きる消費者・生活者は憲法の解釈を一内閣の独断で一方的に変え、日本を戦争のできる国にするこの決定を断じて認めることはできません。また、この日、名護市辺野古では、米軍普天間飛行場の移設に向けた工事が着手されたことも許せません。集団的自衛権の行使容認、日米ガイドライン(米軍と自衛隊の役割を定めた防衛協力指針)の見直し、辺野古移設の3点が一体となって沖縄の軍事要塞化が進むのは間違いなく、県民の不安は計り知れないからです。
今回の閣議決定は、戦後69年に及ぶこの国の平和を支えてきた憲法9条を「解釈変更」という手法で骨抜きにする「改憲」にほかなりません。憲法9条によって、自衛隊は海外での戦闘行動への参加や武器使用を禁じられてきました。安倍政権は閣議決定において、集団的自衛権の行使に歯止めをかける新三要件なるものを打ち出しましたが、その中身は「歯止め」どころか、ずるずると拡大解釈が可能なものでしかありません。国家の命令によって「殺すことも殺されることもない69年の歴史」の大転換がいま始まろうとしているのです。
この国を「戦争の出来る国」にするこの安倍政権の決定は、この列島に住む人びとのくらしに大きな影響をあたえます。国家予算はいっそう軍備拡大に偏り、社会保障や医療、教育、地域・農林漁業の振興に振り向けられる支出は削減の一途をたどることは目に見えています。安心して子育てできる環境や老後を生き切る公的な支えは壊されていくことは、かつての戦争体験者が明らかにしています。
問題は9条だけに限定できません。憲法を時の政権が一方的に解釈して国民に押し付けるこの手法は、憲法のほかの条文にも適用されるに違いありません。憲法が定める基本的人権、自由に生きる権利、幸福追求権、生存権、教育を受ける権利、働く権利、などなど、わたしたち消費者・生活者が平和で穏やかに、安心して生きていくための諸権利が一方的に制限されることになってしまいます。
こうした時代の到来を許さないために、日本消費者連盟はくらしの足元から、全国津々浦々から「集団的自衛権行使容認」を許さない声を上げます。そして、そのための運動を積み上げ、粘り強く続けることを声明します。
2014年7月3日
特定非営利活動法人日本消費者連盟