消費者リポート2月号の特集は、「終わっていない子宮頸がんワクチン禍」でした。深刻な副反応を引き起こすワクチンが、いまだに中止にならないどころか、また復活しそうな気配だという内容でした。
このワクチンには苦い思い出があります。国による積極的な接種勧奨が始まった2013年より1年前、私が住む江戸川区では中学入学時に接種の通知が配布されていました。それまで無料接種のワクチンはすべて打たせていたので、その時も何の疑いもなく娘に打たせました。
ある日、ママ友だちとおしゃべりをしていた時、「うちは打たせなかったわよ」という人に出会いました。理由を聞くと「副反応が出ているし、あれは打っても意味がないって」というのです。区からの通知には従うのが当然と思っていた私には、打たせないと決めた彼女の存在は驚きでしかありませんでした。でも彼女はとてもきっぱりしていました。
日消連に入る前の私は、フルタイムで働きながらの子育てで、食べものも、薬も、暮らし方そのものも、何か疑問に思って調べたり、こだわって選んだりする余裕がありませんでした。インフルエンザに罹れば1日も早く治って欲しいと薬を飲ませ、受験生がいるとなればインフルエンザワクチンを家族にまで打たせました。その時の私には、貴重な友人の助言があったにも関わらず、「もう1つの道」を想像することができなかったのです。
ほどなくして、このワクチンによる重篤な副反応に見舞われた少女たちが、メディアに登場し始めました。その時、思い出したのです。娘の接種後の反応が普通ではなかったことを。直角に筋肉に打つから仕方ないと言い聞かせても、本人はとても痛がって全部で3回もある接種を嫌がりました。これまでのワクチンと違うなという感触はあったのです。車いすに座った彼女たちを見るにつけ、娘の姿がダブりました。
日消連に入り、真実を求めて目の前の現象を疑うことを学んだ私は、かのママ友だちにお礼を言いました。そして彼女はいま、私の大事な消費者リポート読者、日消連会員です。
(杉浦陽子)