日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも人のいのちや健康を優先する世の中に変えたいと活動しています。

【運営委員ブログ】誰が望むのか、アメリカの「化け物」穀物を。(2019年9月30日)

 

日本の食糧自給率(2018年度・カロリーベース)は、遂に37%になってしまいました。10年前までは何とか40%を保っていたのが、特に安倍政権による、主要各国との「自由貿易協定」推進のプロセスとぴたり一致して、低下の一途です。今後のこの趨勢を考えるだけで、ぞっとする思いです。

 日経新聞は、日米貿易協定の締結にちなんで、『米牛肉・ワイン値下がりも期待―貿易協定が消費者に恩恵』と大々的に「ちょうちん記事」を書いています。とんでもない。牛肉1つをとっても、過密な家畜工場で抗生物質や成長ホルモン漬け、そして遺伝子組み換え飼料のみで肥育された肉など、一体誰が望んでいるでしょうか。

一方、我が家が30年来お世話になっている山形の有機農業団体の会報には、悲鳴が寄せられています。「日本の食糧輸入の増加は、すでにTPP11が発効し関税が引き下げられた結果です。これにアメリカとのFTAが加わると、日本の農畜産業はますます追い詰められます」と。篤農家、有機農業者が丹精込めて肥沃にした農地が、どんどん休耕地になり、野菜ハウスも資材置き場や、花卉・ハーブ等の栽培場に転じている、というのです。ただただ日本の農産物の「値が高い」というだけの理由で、豊かな農地があたら放棄されています。

収穫が楽になるようにと、実った小麦を丸ごと毒性の強い「グリホサート」を撒いて枯らしている(『消費者リポート』9月20日号をご覧下さい)という、農業者としてのプライドも倫理観も持ち合わせていない、アメリカの「化け物」穀物など、どうして買う必要があるのでしょうか。日本の食卓を取り戻すために、わが国の風土に見合った、消費者と生産者の有機的な絆を追求し、築いていこうではないですか。

(池上明)