経済産業省による多核種除去設備等処理水の取扱いに関する意見募集を受け、日本消費者連盟は4月13日に以下の意見を出しました。
ALPS処理汚染水の処分に関する日本消費者連盟の意見
東京電力福島第一原発事故で放出された放射能は、福島県をはじめ東日本への大きな災禍であり、今なお健康面及び精神的、経済的な負担、懸念材料となっています。原発立地地域に負担を押し付け、事故の災禍を確率論とリスクベネフィット論でしか語らない原子力行政のあり方は見直されなければなりません。ALPSで処理した汚染水(以下、処理水)を海洋に放出することは、福島県民と漁民に新たな負担を強いるものであり、決定に当たっては、すべての選択肢についての技術的な検討、住民や漁民等との間で十二分な議論を尽くして合意形成を図ることが必要です。しかし、今回の提案に至った過程で海洋放出以外の方法に関して十分な検討が、国民の意見を踏まえる形でなされたと言えないと私たちは認識しています。放出の結論を出すことは時期尚早です。これらの前提の下に、私たちは処理水の処分について、以下の意見を提出します。
(1)処理水の海洋または大気への放出に反対します
処理水はトリチウムのほか、ストロンチウム90などの放射能も含んでおり、海洋や大気中に放出すべきではないと考えます。ICRPでも合意されているLNT仮説により放射線の健康影響を考えれば、被ばくを可能な限り低減しなければならず、可能性のある代替方法を排除して放射能を環境に放出することは抑制しなければならないということは当然の帰結だからです。
(2)処理水は陸上で保管すべきと考えます
処理水に含まれる主要な放射能であるトリチウムは半減期12年であり、120年保管すれば放射能は1/1000になります。処理水の放出を急ぐべきではなく、可能な限り保管を続けるべきと考えます。タンクを補強ないし改造、増設、あるいは処理水を固化する等、検討すべき方法はあります。そのための周辺の土地の確保に当たって周辺住民・自治体の理解を得ることは難しくないと考えます。陸上保管の方法を改めて検討することを要望します。
(3)処理水の増加防止を追求すべきと考えます
処理水をこれ以上増やさないことが必要です。そのため地下水の流入を完全に遮断するための方法について再検討し、冷却水を循環再利用して、処理水の増加を止めてください。
以上