日本消費者連盟
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【抗議声明】六ヶ所再処理工場の建設を認める原子力規制委員会の決定に抗議し、 政府に撤回を求めます(2020年5月20日)

 

【抗議声明】
六ヶ所再処理工場の建設を認める原子力規制委員会の決定に抗議し、
政府に撤回を求めます

 

2020年5月13日、原子力規制委員会は青森県六ケ所村の再処理工場について安全対策の基本指針が新規制基準に適合しているとする「審査書案」を了承しました。これにより、「核燃料サイクル」の中核施設である日本原燃の再処理工場が本格稼働に近づくこととなります。

再処理工場の審査にあたっては、活断層・地震・火山噴火等の評価、プルトニウムの臨界事故等への評価など、さまざまな問題的が指摘されており、原子力規制委員会には中立公正な立場にたってより慎重な審査が必要であるにもかかわらず、新型コロナ感染拡大という状況下で拙速な審査を強行しました。日本消費者連盟は、今般の原子力規制委員会の決定に強く抗議します。

再処理工場は、原発での使用済み核燃料を高温の硝酸に溶かしてプルトニウムとウランを取り出す化学工場のような施設です。高濃度の放射性毒物を処理するため、放射能漏れや被ばく事故などの危険性、火災や爆発事故などの危険性があり、さらには通常の原発とは比較にならない大量の放射性毒物が海中にも大気中にも日常的に放出されることとなります。

六ヶ所再処理工場の総事業費は、現時点で13兆9,400億円。六ヶ所村のMOX燃料工場分も含めれば、16兆円を超える膨大な費用になります。これらの費用は、電気料金として私たち消費者から徴収されることになるわけで、看過できません。

核燃料サイクル政策は、現在完全に行き詰っており、必要性・実現性はありません。高速増殖炉は、プルトニウムを利用して発電しながら原子燃料を生成するもので、核燃料サイクルの中核を担いますが、福井県に計画された高速増殖炉「もんじゅ」は2018年3月に廃炉が決定しています。プルサーマル計画(MOX燃料によってふつうの原発でプルトニウムを使用する計画)も福島原発事故以降一向に進展せず、高額な生産コストも問題となり、非現実的な計画となっています。

政府は、増加の一途をたどる日本の保有プルトニウムへの国内外の懸念を受けて、2018年に「余剰のプルトニウムを保有しない」との方針を決定しています。今こそ政府は、核燃料サイクル計画の破たんの事実を受け入れ、「国策」の転換を図るべきで、日本消費者連盟は同計画の撤回を強く求めます。

2020年5月20日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟