2022年5月16日付で農林水産省に出した「アニマルウェルフェアに関する意見交換会」に関する公開質問状に対し、農水省から同年5月25日付で回答がありました。
アニマルウェルフェアに関する意見交換会を非公開にした理由として、「委員の率直な意見交換を担保する必要があるとともに、現場の課題など率直な意見を伺うためには、その発言者等が特定されることによる波及効果の発生の懸念にも配慮する必要がある」と言っていますが、各委員への要請時に原則公開で開催する方向で進めていたならば、委員は原則公開を承知で引き受けたはずです。それを会議直前になって一方的に非公開とした農水省の責任は重いと考えます。上記の農水省の回答に「その発言者等が特定されることによる波及効果の発生」とありますが、どのような波及効果が発生すると懸念しているのでしょうか。波及効果が発生するのは、それだけアニマルウェルフェアへの市民の関心が高いと理解すべきです。
また、質問2への回答で、「意見交換会の議事概要については、発言者の名前を伏せた上で各発言者の発言の詳細を明らかにして公表することにより、透明性を確保していく」とありますが、概要はあくまでも概要であって、透明性を確保しているとは言えません。
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4畜産第504号
令和4年5月25日
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 大野 和興 様
共同代表 纐纈美千世 様
農林水産省畜産局長
「アニマルウェルフェアに関する意見交換会」に関する公開質問状への回答について
「「アニマルウェルフェアに関する意見交換会」に関する公開質問状(2022年5月16 日付け 2022日消連第2号)」について、以下のとおり回答します。
1について
令和3年6月3日に公表された「養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会報告書」において、「今後の我が国におけるアニマルウェルフェアの推進に当たっては、最新の科学的知見、国際的動向、流通・食品加工・外食・小売事業者の動向等の様々な要素も考慮した上で、より科学的・戦略的に対応していくべき」との提言がありました。これを踏まえ、同月15日に公表した農林水産省の改善策において、アニマルウェルフェアに関する最新の科学的知見や国際的動向を考慮した施策を推進するために把握した各種情報を共有し、アニマルウェルフェアに対する相互理解を深めるため、幅広い関係者による意見交換会(以下「意見交換会」という。)を設置することとしました。
意見交換会の設置や委員就任についての調整プロセスを開始した令和3年秋の時点では、貴団体をはじめとする方々に、意見交換会を原則公開で開催する方向で調整中である旨をお伝えしておりましたが、アニマルウェルフェアについては様々な意見がある中で、生産から食肉・食鳥処理、流通、食品加工、外食、小売事業者等の多岐にわたる委員の率直な意見交換を担保する必要があるとともに、現場の課題など率直な意見を伺うためには、その発言者等が特定されることによる波及効果の発生の懸念にも配慮する必要があることを踏まえ、会議は非公開とした上で、議事概要を公開するとの方針を採ることとしたものです。
第1回の意見交換会の日程が令和4年1月27日となる中で、当省の方針についての委員への連絡は同月21日となりましたが、こうした方針を採ることとしたことについて御理解を賜れば幸いです。
2について
第1回意見交換会の議事概要については、意見交換会においてどのような議論が行われたかを可能な限り正確に伝えられるよう、出席委員全員に御確認いただいた上で、発言者の名前は伏せるものの、各発言者の発言の詳細を明らかにして公表いたしました。公表された議事概要については、以下の URL を御覧願います。(https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/animal_welfare.html)
今後においても、引き続き、委員の皆様の御理解及び御協力を得て、意見交換会の議事概要については、発言者の名前を伏せた上で各発言者の発言の詳細を明らかにして公表することにより、透明性を確保していく考えです。