猛暑による電力需給逼迫を口実とした原発再稼働に反対する緊急声明
今年は例年より20日程度早い梅雨明けで、6月最終週から連日全国各地で猛暑日が続いています。そのため、政府は電力需給が逼迫しているとして、東京電力管内等で「電力需給ひっ迫注意報」を発令し、節電要請を行いました。このような事態に呼応するかのように原発再稼働を求める意見が高まっています。日本消費者連盟は、かかる原発再稼働に向けた動向に強い危機感を覚え、ここに明確に反対を表明します。
2011年の福島第一原子力発電所事故後、電力需要の30%近くを賄っていた原発は全面停止となりましたが、これまで絶対的な設備容量は足りており、電力需給に支障を来たしたことはありませんでした。
現在の電力需給逼迫は、現象的にはこの間収益性の低い老朽化した火力発電所の停止を個別の電力資本の判断に任せてきた結果といえますが、総体的に鑑みると、原発事故後の10年間余、原発の温存に固執する国が将来的な電力供給構造の転換を真摯に検討してこなかったことが原因です。
原発の危険性については、原発に直接関わるいわゆる「原子力ムラ」の面々も原発現地の住民等にとっても実は自明のことで、とりわけ地震や災害が多発する日本にあっては、危険性が再三指摘されてきました。
電力供給は、太陽光・風力・バイオマスなどの再生可能エネルギーに早急に転換することが必要です。ただし、メガソーラーや巨大風車などは周辺の環境破壊等のさまざまな問題を引き起こしています。巨大電力資本に依拠するのではなく、エネルギーシステムの分権化、ボトムアップ化によって地域住民が参加し、地域活性化に資するシステムの構築が望まれています。
同時に、オフィス・家屋での照明・冷暖房の適切な省エネ化と共に、オール電化に進むことなく建築物の断熱省エネ化、都市部での公共交通機関の利用や自転車の利用等を図り、地道な努力を積み重ねていくことも進めていくべきです。また、企業等が所有している自家発電については、その発電能力などを明らかにし、電力需給対策を立てる必要があります。
そして、原子力や化石燃料に依存しないエネルギーシフトに早急に取り組みましょう。
2022年7月5日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟