日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも人のいのちや健康を優先する世の中に変えたいと活動しています。

【運営委員ブログ】武力でなく対話を、独占でなくシェアを(2023年3月22日)

最近、知人から歴史原稿の校正を託された。紀元前の地中海世界でローマと戦った、カルタゴの雄『ハンニバル』が題材の大作だった。戦争の話ばかりを読む羽目になったが、図らずも、紀元前の社会と現代社会とで、人間は、何1つ変わっていないことを思い知らされた。

食料、資源、富を求めて、他所に侵略戦争を仕掛けたり停戦したり、同盟を結んだり破ったり。戦争に勝つために、人間の知恵が投入され、技術革新が進んでいく。(アルキメデスも、新たな投石機を考案したそうだ。)戦争では犠牲者が出て、資源は浪費される。現代社会などは、行き過ぎた科学技術の果てに、人間の依拠する自然環境、自分たちの健康にまでダメージが及び、完全に「詰んだ」状態に陥ってしまっている。

日消連が目指す「すこやかないのちを未来につなぐ」ためには、戦争も新技術の開発も要らない。武力で独占するのでなく、対話で分かち合えばいい。『人新世の「資本論」』で注目される斎藤幸平氏の言うように「コモンの再生」が鍵となろう。人間の知恵は、戦争に勝つために使うのでなく、皆の笑顔を増やすために使っていきたいものである。

(深谷桂子)