セキュリティー・クリアランスという制度をご存知でしょうか。国家的秘密の取扱者の適確性を審査する仕組みということですが、私自身も最近知ったばかりです。
今国会に法案が提出されますが、ほとんど知られていないと思います。1年前から政府の有識者会議で検討してきたようです。所詮は結論ありきの身内の集まりのようなもので、このままでは、1、2日のなおざりな国会審議で成立してしまうのではと心配です。
特定秘密保護法反対運動が大きく高揚してから10年。適用範囲は外交・防衛・防諜・テロの4分野に限定されていますが、対象者を民間企業や大学等にも大幅に拡張する狙いです。「戦争のできる国」に向けて、軍産学官一体となった研究が急拡大しています。これらを特定秘密として、情報に接する社員や研究者の適格性を確認するシステムの導入が謀られています。その際、個々人の飲酒・精神疾患・借金・家族構成などの身辺調査が行われ、プライバシー権が侵害される恐ろしい世の中となります。
私はすでに職場である大学を定年となりましたが、最後の10数年は産学連携を担当していました。現職であれば、あるいは私自身も対象となったかと思うと何とも言いようがありません。
(亀山亜土)