2024日消連第13号
2024年7月5日
消費者庁長官 新井ゆたか様
特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 亀山亜土
共同代表 佐々木ミヨ子
共同代表 マーティン・フリッド
機能性表示食品と健康食品についての質問状
紅麹サプリメントによる健康被害を受け、当団体などが5月23日に開催した緊急市民集会において、貴庁に対し機能性表示食品の廃止や健康食品の規制を求めました。しかし、その後に出された「機能性表示食品を巡る検討会」の答申は、品質管理と事故情報についてのみ提言するもので、貴庁の対応(食品表示基準の改定など)にも抜本的改善の動きが見えません。健康食品の抜本的な規制強化をしなければ、被害は防止できないと考えます。改めて規制強化の検討を要請するとともに、以下、質問します。ご回答は7月22日までにお願いいたします。ご回答につきましては当団体のHP等で公開させていただきます。
記
1、紅麹サプリメントによる健康被害がモナコリンKによって起きた可能性を検討していますか。
紅麹食品の有効成分とされるモナコリンKは、医薬品のロバスタチンと同成分で、モナコリンKの目安量とロバスタチンの処方量がオーダーは変わらないことが指摘されています。ロバスタチンの副作用として腎障害や肝障害の悪化も報告されているようですが、紅麹サプリメントによる健康被害がモナコリンKによって起きた可能性をどのように検討されていますか。
2、医薬品の成分が健康食品に使用されている事例を把握していますか。
紅麹サプリメントが機能性表示食品として登録されるにあたって、有効成分が医薬品成分であることを貴庁は認識されていましたか。有効成分が医薬品としても使われる成分であり、摂取量が処方量と大きく変わらない事例を他にも把握していますか。把握しているなら全て開示してください。
3、他の政府機関と連携していますか。
国民生活センターは、健康食品の危害情報を集約していますが、貴庁とはどのような頻度と内容で規制のための情報交換をしていますか。現在一部メンテナンス中となっていますが、国立健康・栄養研究所のデータベースには、健康食品の安全性と有効性情報が掲載されていました。貴庁はこの情報を健康食品の規制・指導に利用するなど、同研究所と連携をしていますか。他に健康食品の規制・指導のために連携をしている機関はありますか。
4、機能性表示食品の消費者の理解をどう認識していますか。
貴庁が毎年実施している消費者意向調査において、機能性表示食品と特定保健用食品について理解をしていない消費者が多数を占める結果となっています。特に、機能性表示食品を「表示されている効果や安全性について国が審査を行っている」と誤回答した割合のほうが、「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示したものである」と回答した割合よりも多くなっています(令和4年度調査)。国によって「安全性が担保されている」と誤解され、消費者の利用につながっていることをどのようにお考えですか。
5、機能性表示食品制度の見直しは行ないますか。
機能性表示食品制度導入後、健康食品の市場が拡大し、健康食品による危害が増加したことを踏まえれば、機能性表示食品にはメリットよりもデメリットが大きいことは明らかです。機能性表示食品制度を廃止すべきと考えますが、貴庁は機能性表示食品制度の見直しを検討会答申に従った品質管理と事故情報提供のみで終わらせるのでしょうか。機能性表示食品制度の廃止を求める声をどのようにお考えですか。
6、健康食品の表示について、どのように把握していますか。
機能性表示食品を含む健康食品の表示(新聞の折り込み広告やテレビコマーシャルを含む)には、効果効能を示唆する内容を強く訴求し、消費者の健康不安を煽る宣伝をする一方で、過剰摂取や飲み合わせ等による健康被害の懸念については伝えないか、小さな字で伝える事業者が多く見られます。そうした健康食品の表示について消費者団体からも指摘がなされていますが、貴庁はどのような調査を実施し、現時点でどう把握し、どのように問題を認識していますか。
7、健康食品の成分と表示を規制すべきではありませんか。
かつて薬食区分によって食品の取り扱いと保健機能の表示は薬事法で厳しく規制されていましたが、1990年代以降、剤形も表示も規制緩和されてしまいました。健康作りの基本は栄養バランスのとれた食生活と適度な運動、十分な休息に求められるもので、健康に不安があれば医師の診察を受けるべきであることは、貴庁も認識されているところです。私たちは、大部分の健康食品は補助的にも利用すべきでないと考えます。規制緩和前の規制に戻すことが消費者の健康維持のために有益ではないでしょうか。健康食品が却って健康被害に結びついていることが明らかになっている現在、健康食品の規制を抜本的に見直すべきと考えられませんか。
以上