日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも、人のいのちや健康を優先する世の中にしたいと活動しています。

【回答】育種事業における遺伝子操作技術の利用に関する公開質問状への回答(2023年8月23日)

 

7月27日付で各地の農業試験場など24機関に出した「育種事業における遺伝子操作技術の利用に関する公開質問状」に、22機関から回答がありました。ほとんどが、私たちが懸念する遺伝子操作技術による育種は行っていないと回答しました。
今回、質問状を送ったのは、日本国内で研究されている研究課題や研究者に関するデータベースサイト「日本の研究.com」で、「ゲノム編集技術等を用いた画期的な農水産物の開発」や「先端ゲノム育種によるカドミウム低吸収性イネ品種の早期拡大と対応する土壌管理技術の確立」「新たな育種技術(NBT)の開発・改良」など、遺伝子操作技術に関係しそうな研究開発プロジェクトに名前を連ねていた機関です。ところが、それらの機関のほとんどが「遺伝子操作技術による育種は実施していないし検討もしていない」でした。それでは、日本の研究.comの情報をどう考えたらいいのでしょうか。「実施していない」と回答した機関には再質問を送る予定です。

 

■育種事業における遺伝子操作技術の利用に関する質問への回答一覧

[質問1]遺伝子操作技術による育種を実施または検討していますか。している場合、どのような生物ですか。 [質問2]遺伝子操作技術を利用している場合、どのような理由からですか。 [質問3]遺伝子操作技術のリスクについて議論していますか。議論しているとすれば、その議論に県民は参加していますか。また、その議論は公開していますか。 [質問4]リスクの回避・低減のため、どのような措置を取っていますか。私たちは遺伝子操作生物の安全確保は現時点で困難と考えますが、最低限、全ゲノム解析とその評価、動物実験による安全性確認は必要と考えています。そうした安全性確認は考えていますか。
青森県産業技術センター 当法人では、 遺伝子操作技術による育種を実施しておらず、検討もしていない旨を回答します。
宮城県古川農業試験場 当場では現時点では該当する技術を行っておらず、今後も行う予定はございませんのでいずれの設問にも該当するものはございません。
秋田県農業試験場 実施していません。 利用していないので回答はありません。 遺伝子操作技術を利用していないので議論していません。 遺伝子操作技術による育種を実施していないので措置はありません。
山形県農業総合研究センター 遺伝子操作技術による育種の実施または検討について:「該当なし」
栃木県農業試験場 当場では遺伝子操作技術による育種を実施しておらず、 検討も行っておりません。
千葉県農林総合研究センター 当センターにおいて、遺伝子操作技術による育種は行っておりません。 該当はありません。 当センターでは研究が行われておらず、当面の具体的な予定もないことから、遺伝子操作技術のリスクについての議論は行われておりません。 該当はありません。
富山県農林水産総合技術センター 実施及び実施はしていません。 上記により該当なし。 同上 同上
福井県農業試験場 遺伝子操作技術による育種については、現在、実施および検討していません。 遺伝子操作技術を実施、検討していませんので未回答とします。
長野県農業試験場 実施及び実施の予定はありません 該当なし 該当なし 該当なし
岐阜県農業技術センター 検討してません。 該当なし(遺伝子操作技術を利用してません) 議論してません。 該当なし(遺伝子操作技術を利用してません)
静岡県農林技術研究所 現在、当研究所では遺伝子操作技術による育種は実施しておりません。 当研究所では、遺伝子操作技術による育種は現在実施しておりませんが、組換えDNA実験の安全かつ適切な実施を図るための規程を策定し、 その規程に基づき、組換えDNA実験安全委員会を設置しております。本委員会は、研究部門の管理者、衛生担当者、研究所外の学識経験者等により構成され、関係法令に対する実験計画の適合性や、実験に係る教育訓練、健康管理、事故発生時の必要な措置等について審議することとなっております。 関係法令及び上述の規程を遵守することにより、組換えDNA実験のリスク回避及び安全確保を図っています。
愛知県農業総合試験場 食に係る生物を対象とした遺伝子操作技術による育種は行っておりません。観賞用花き (キク及びカーネーション) に限定して、ゲノム編集技術を活用した育種の研究を実施しています。 観賞用花きについて、 花の色の異なる品種をつくるために、異なる品種 (系統)をかけあわせ、得られた個体の中から求める色や性質を持つものを選抜する方法により品種改良を行ってきました。 こうした交配育種では、花の色以外の性質も変わってしまい、元の品種のよい性質をそのまま残した個体を得ることが困難であるためです。 公開されている国の手引きや通知に沿った研究を行っており、県独自での議論は行っていません。 国の手引きや通知に基づいた措置をとって研究を行ってます。
滋賀県農業技術振興センター 実施、検討していません。 上記1のとおりです。 現在、議論を行っておりませんが、滋賀県では平成16年に策定いたしました「遺伝子組換え作物の栽培に関する滋賀県指針」に基づき、情報交換、意見聴取のため、必要に応じて会議等の場を設けることとしています。なお、指針は県のホームページで公開しています。 「遺伝子組換え作物の栽培に関する滋賀県指針」に基づいて対応しています。
兵庫県立農林水産技術総合センター 遺伝子操作技術による育種を実施、または検討していません。 遺伝子操作技術の利用はしていません。 遺伝子操作技術による育種の実施または検討してないことから、 議論は特にしていません。 遺伝子操作技術の利用はしていません。
和歌山県果樹試験場 実施していない (検討していない) 該当しないので回答なし 議論していない 該当しないので回答なし
鳥取県園芸試験場 鳥取県園芸試験場では遺伝子組換、ゲノム編集等の手法を用いた育種は行っておりません。よって、1~4の質問についてはいずれも該当なしとなります。
愛媛県農林水産研究所 ゲノム編集による柑橘の育種を準備中。 効率的かつ迅速に品種改良を行うことが期待できるため。 国の基準等に基づき、研究所外の者の参加のもと議論をしている。知財管理の観点から非公開。 国が手続きに則って、科学的知見に基づき確認を行い、その内容を国民に公表することにより安全性を担保していると認識。
福岡県農林業総合試験場 していない。 していない。 組換えDNA実験を行う際には、場の規程 (組換えDNA実験安全管理運営要綱) により計画を作成し、実施する際の安全確保に関して外部委員を含む組換えDNA実験安全委員会の助言、承認を受ける。 なお、現時点では上記の実験計画はない。
佐賀県果樹試験場 実施していない。 検討していない。 該当なし。 利用を検討しておらず、議論していない。 該当なし。
長崎県総合水産試験場 実施および計画していない。 回答対象外。 回答対象外。 回答対象外。
熊本県農業研究センター果樹研究所 遺伝子操作技術による育種は実施していませんし、検討もしていません。 遺伝子操作技術については未実施、未検討のため回答できません。
宮崎県総合農業試験場 遺伝子操作技術による育種を実施または検討していません。 遺伝子操作技術を利用していないため、該当がありません。 遺伝子操作技術を利用しておらず、 今後も予定していないため議論していません。 遺伝子操作技術を利用していないため、該当がありません。
長崎県農林技術開発センター 未回答
鹿児島県農業開発研究センター 未回答