シンポジウム「〝食べて応援〞・でも放射能は大丈夫?──消費者は汚染地の農漁民をどう支えればいいのか」を開催しました。
日本消費者連盟は、2011年10月1日、共同代表制に移行するとともに、新たな消費者運動の展開を目指して、再スタートを切りました。その出発を記念するシンポジウムです。
放射能汚染を格差社会拡大につなげないために
同シンポジウムでは、大阪赤十字病院医師の山本英彦さんが、内部被曝について基本的な問題を語り、アイコープふくしまの佐藤孝之さんが、福島での生産者と消費者の取り組みを述べ、食政策センター・ビジョン21の安田節子さんが、放射能汚染食品との原則的な向き合い方を提起しました。
原発が私たちの食卓を脅かし、健康を脅かし、生活を破壊するものであることが、改めて確認され、どのように現実と向き合っていったらよいか、討論が進められました。その中で、茨城県や福島県の農家の方々などからの提起など、重い課題が、私たちに突きつけられた形でシンポジウムは終了しました。同時に、脱原発へ向けた取り組みの重要性が確認されました。
放射能汚染は、食の安全を脅かすだけでなく、輸入食品の増大をもたらし、TPPへの道を切り開きつつあります。このようなグローバル化の流れが、貧困、格差社会をもたらし、農の自立を奪い、食や暮らしの安全を脅かしてきました。また産業界は「安い電力で国際的な競争力をつける」と称して原発を推進してきました。「安い」というのは、廃棄物などのツケを子孫に押しつけることで成り立つ、机上の空論であることはいうまでもありません。原発推進とグローバル化は同根にあります。
子孫にツケを回さない社会へ
脱原発とは、直接的にはエネルギー生産において、原発利用から脱していくことですが、プルトニウムを持たない平和社会を築くことでもあります。また、日本社会の「土建国家」からの脱却でもあります。さらには、いまの成長を志向する経済優先社会からの脱却でもあり、子孫にツケを回さない社会に変えていくことでもあります。
世界的に経済が行き詰まっています。さらに経済成長を目指す日本の政治や産業界は、原発の運転再開を図り、TPPを推進してグローバル化の中に活路を見いだそうとしています。脱原発は、これに対抗して、脱グローバル化と一体になって進める必要があります。
日本消費者連盟が目指す新たな運動は、これまでの告発型運動を受け継ぎながらも、脱原発、脱グローバル化に向けた取り組みを担っていきます。シンポジウムの成果と、これまで培ってきた運動のネットワークを活かしながら、消費者主権を貫き、社会を変えていくことを目指します。しかし、これは会員のみなさまの強い応援があって初めて可能です。
(共同代表 天笠啓祐)