韓国と北朝鮮の歴史的な首脳会談では日本は完全に置いてけぼりをくいました。圧力の必要性を強調するばかりでは、外交は立ち行かないことを証明した格好です。それはさておき、遺伝子組み換え問題でも日本は置いてけぼり状態です。
日本では、食品に遺伝子組み換え原料を使っていても、表示義務が課せられているのは原料全体に占める割合が上位3位まででかつ全重量の5%以上のものに限られています。昨年4月から今年3月にかけて消費者庁で行われた「遺伝子組換え表示制度に関する検討会」はまともに議論することなく、「現状維持」と結論付けました。ほとんどの食品が遺伝子組み換え表示を逃れた状況は今後も続きます。一方、韓国は2016年2月の食品衛生法改正(2017年2月施行)で上位5品目という条件をなくしました。台湾も2015年に表示義務対象を全食品に拡大しました。
「意図しない混入率」も日本は後れをとっています。非遺伝子組み換え原料を調達するため生産から流通まで分別管理を行っても一定程度の組み換え原料は混じってしまいます。それを「意図しない混入」とし、各国は混入の許容率を定めています。日本の5%に対し、韓国と台湾は3%です。大量の遺伝子組み換え作物を輸入している状況は日本、韓国、台湾とも同様なのに、この差は何なのでしょうか。
今回の遺伝子組換え表示検討会は消費者の知る権利を無視した結論を出しましたが、落ち込んでいる暇はありません。韓国でも台湾でも市民がさらなる表示改善を目指して奮闘中です。韓国と台湾の市民グループが今年3月に日本を訪れ、協力して遺伝子組み換え問題に取り組むネットワークができました。消費者リポート4月号で紹介しています。
(纐纈美千世)