「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバー、及び、賛同23 団体は、政府より2021年1月28日に示された「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について」及び政府が第204回通常国会で成立を目指す「プラスチックにかかる資源循環の促進等に関する法律(仮称)」に関連し、2030年までに自然環境へのプラスチックの流出ゼロ、及び、使い捨てプラスチック使用の原則ゼロを実現し、さらに2050年までに新たに生産したバージンプラスチックに依存しない社会を築いていくための戦略を推進するための「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を発表しました。
日本で発生する年間850万トンの廃プラスチックの47%が、ほぼ使い捨て用途の容器包装であり、一人当たりでは世界で2位と、大量の使い捨てプラスチックを使用・廃棄しています。これらの一部や、プラスチック製品の使用に伴い発生するマイクロプラスチックや漁具など、大量のプラスチックが自然環境へ流出し続けています。
政府は「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しましたが、プラスチックの大量生産と焼却処理(熱回収を含む)に伴い、発生するCO2は地球温暖化を加速させています。また、代替品とされる紙製やバイオマス素材の製品についても、過剰生産されることで、原材料栽培地への転換による原生林の伐採など、新たな環境問題を発生させる恐れがあります。さらに、国内でのプラスチックリサイクルは処理全体の16%に過ぎず、素材の品質や機能の低下を伴うものがほとんどであり、それらを改善させたとしても、廃棄物を大量発生させたまま、その処理を国内リサイクルに依存していくことは不可能です。
まず容器包装を中心にプラスチック製品の生産総量を大幅にリデュースした上で、すぐに削減できないものは再使用(リユース)するなど、確実に循環利用させていく仕組みが不可欠です。それには、拡大生産者責任の強化などに基づく社会・経済システムの構築が必要です。しかし政府の施策案では、新たな環境問題につながる恐れのある「代替品の積極的な利用によるリデュースの徹底」と「大量廃棄を前提とした回収とリサイクルの推進」に依存しており、問題の本質である大量生産・大量消費・大量廃棄社会からの転換を図るものとはなっていません。さらに、有害化学物質による悪影響の発生予防対策を導入することや、国際的な解決の枠組みを早急に発足させることも重要です。
そこで「減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク」のメンバー、及び、賛同23団体は、政府に対し、添付の通りプラスチックの生産、使用及び廃棄に伴う環境への負荷を総合的に抑制するための脱プラスチック戦略の推進を図る基本法案「脱プラスチック戦略推進基本法(案)」を提案し、それに基づいた戦略の推進、すなわち、基本法案で示した脱プラスチック戦略推進計画の制定と、関連する基本的施策の導入と遂行を求めていきます。
添付資料
●脱プラスチック戦略推進基本法(案)
https://www.wbsj.org/press/img/pla-210212.pdf
●脱プラスチック戦略推進基本法(案)概要
https://www.wbsj.org/press/img/pla-gaiyou210212.pdf
減プラスチック社会を実現するNGOネットワーク
メンバー団体(五十音順)
- 特定非営利活動法人 OWS
- 国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
- 一般社団法人 JEAN
- 公益財団法人 世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
- 全国川ごみネットワーク
- 特定非営利活動法人 ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
- 一般財団法人 地球人間環境フォーラム
- 公益財団法人 日本自然保護協会
- 特定非営利活動法人 日本消費者連盟
- 公益財団法人 日本野鳥の会
- 特定非営利活動法人 パートナーシップオフィス
- 特定非営利活動法人 プラスチックフリージャパン
- 容器包装の3Rを進める全国ネットワーク
- 一般社団法人 リアル・コンサベーション
賛同団体(五十音順)
- 特定非営利活動法人 アーキペラゴ
- 小山の環境を考える市民の会
- 環境問題を考える会
- さがみはら環境問題研究会
- 特定非営利活動法人 スペースふう
- 奈良エコライフ研究会
- Hamaumi-浜松の海を守る会
- 特定非営利活動法人 プロジェクト保津川
- 山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト