日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも、人のいのちや健康を優先する世の中にしたいと活動しています。

【緊急声明】東京電力の福島第一原発汚染水の海洋放出審査申請に抗議する緊急声明(2021年12月27日)

 

東京電力の福島第一原発汚染水の海洋放出審査申請に抗議する緊急声明

 

東京電力は2021年12月21日にも、福島第一原発事故で発生し、タンクに貯蔵している汚染水(ALPS処理水)の海洋放出について、放出関連設備等の審査を原子力規制委員会に申請しました。

これは、2020年2月、経済産業省の「ALPS小委員会」による水蒸気放出および海洋放出が現実的な選択肢であり、海洋放出がより実施しやすいとの報告書の公表を踏まえて、今年4月に菅政権が、汚染水の海洋放出方針を関係閣僚会議で決定したことを受けたものと言えます。

経済産業省の報告書公表以降、福島県漁業協同組合連合会、福島県森林組合連合会、福島県農業協同組合中央会および福島県水産加工連合会などからは明確な反対が表明されました。また、福島県内の多数の各市町村議会で、海洋放出に反対の決議や慎重に議論すべきとの決議がなされ、福島県の実に7割の市町村が海洋放出に同意していません。

タンクに貯蔵された汚染水については、トリチウム以外は除去されたことになっていますが、実際には約7割の汚染水に、基準値を超えたセシウム、ストロンチウム、ヨウ素などの放射性物質が残っています。こうした状態で海洋放出すれば、たとえ希釈したとしても、海洋放出されたトリチウム等の汚染水が均一に薄められる保証はなく、放射性物質は食物連鎖などの生態系を通して濃縮されるので、安全性が担保されないことは明らかです。

東京電力や経済産業省などは、汚染水を保管するタンクの設置場所がもうないと主張していますが、実際には敷地の北側にスペースを確保することが可能です。また、海洋放出の代替案として「大型タンクによる長期保管案」や「モルタル固化処分案」などの提案がなされていますが、これらについては十分な検討がなされていません。

以上のことから、今般の東京電力による福島第一原発汚染水の海洋放出に向けた審査申請は、地元福島県はじめ各地・各層の反対・懸念の表明を全く顧みない暴挙であって、これに強く抗議し、政府・経済産業省等および東京電力は海洋放出の方針をすみやかに撤回することを求めます。

 

2021年12月27日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟