春の気配を感じる頃になると、天気予報とともにニュースとなるのが花粉情報。続いてPM2.5となります。しかし、現在問題になっているマイクロプラスチックについては、年中空気中に散乱していても注意情報は流れません。まだまだ人体への影響が研究・意識されていないからでしょう。
そんな中、3月20日付の新聞報道で、国内で複数の人から採取された血液に、ナノプラスチックと呼ばれる直径千分の1ミリ以下の極めて小さなプラスチック粒子が含まれていることが、東京農工大の高田秀重教授らのグループの分析で明らかになった、とありました。このうち1人を詳しく調べると、血液や腎臓、肝臓などから、プラスチックに添加する紫外線吸収剤やポリ塩化ビフェニール(PCB)という有害化学物質も見つかったそうです。
高田教授は「プラスチックの微粒子が有害化学物質を体内に運び込んでいる」と指摘。検出量はわずかで直ちに影響が出るレベルではないとしつつも、「摂取量が増えたり長期間蓄積したりすれば、生殖作用などに影響を与えることが懸念される」としています。
マイクロプラスチックは空気中に散乱しているので、体内に容易に入ってしまうと懸念していましたが、現実として突き付けられました。1人ひとりの脱プラの努力では追い付けないほどのプラスチックの量が、環境や動植物、人間にも影響を与えています。この負の遺産をこれからの若い世代に残さないために何ができるのか考えなければなりません。
(佐々木ミヨ子)