日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
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消費税増税前に、有害無益なワクチン事業支出の再検討を!

「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業」は、平成23年度末までの事業として、各都道府県に基金を設けさせ、市町村が実施する子宮頸がん等ワクチン接種事業に国が補助金を拠出して行われているものです。この度、平成24年度に新たに必要となる経費として、第4次補正予算案において約526億円(子宮頸がん予防ワクチン;125億円、ヒブワクチン;175億円、小児用肺炎球菌ワクチン;223億円、事務費;3億円)が計上されました。


この支出は、外国製の高額なワクチンを、予防接種法の枠外で、中高生の女子(子宮頸がんワクチン)や0歳児を中心とした乳幼児(ヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン)を対象に特別な交付金を拠出することにより、「公費負担事業」として行うものです。一昨年から始められた公費負担接種により、各地では接種の拡大が進み、子宮頸がんワクチンでは死亡例を含む神経性のショック症状が多発し、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンでは同時接種による死亡例がでています。(因果関係は全て否定されています。)

 

接種を希望するひとには、十分な情報を開示して行うべきであること、あまねく接種を勧めるような莫大な補助金の垂れ流しは行うべきでないことから、日本消費者連盟とワクチントーク全国は、これらのワクチンへの公費負担による接種の促進に反対の立場を表してきました。

2012年1月11日、総理大臣と財務大臣、厚生労働大臣あてに、第4次補正予算として計上しないよう以下の申し入れを行いました。


 

                           日消連第39号

2012年1月11日

内閣総理大臣  野 田 佳彦 様

財務大臣   安 住  淳 様

厚生労働大臣 小宮山 洋子 様

                                特定非営利活動法人日本消費者連盟                                                             共同代表    天笠 啓祐

                                                             古賀 真子

                                                               真下 俊樹

                                                               山浦 康明

ワクチントーク全国

事務局 青野 典子

母里 啓子

要請書

「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金の延長」に反対し、ワクチン行政の根本的見直しを求めます。

 

平成23年12月20日、平成23年度第4次補正予算案が閣議決定されました。この予算案には、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の終期を平成24年度末まで延長するために必要な予算を計上することが盛り込まれ、各都道府県衛生主管部局と厚生労働省健康局結核感染症課あてに、「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金の延長について」との事務連絡文書が発せられました。

子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業は、各都道府県に基金を設け、平成23年度末までの事業として、市町村が実施する子宮頸がん等ワクチン接種事業に補助を行い、国において、平成24年度に新たに必要となる経費として、第4次補正予算案において約526億円(子宮頸がん予防ワクチン;125億円、ヒブワクチン;175億円、小児用肺炎球菌ワクチン;223億円、事務費;3億円)を計上しています。

第4次補正予算案は、今通常国会に提出され、審議が行われることとなっていますが、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業には、以下のような問題点がありますので、補正予算に計上しないよう申入れます。

特定非営利活動法人日本消費者連盟とワクチントーク全国は、子宮頸がんワクチンを公費負担することは疑問であるとして、2010年9月1日には「子宮頸がんワクチンの公費助成に反対する申入れ」を長妻厚生労働大臣(当時)あてにしています。その後も、莫大な国費を投じて緊急接種事業とされていることに対して、2011年12月19日に、小宮山厚生労働大臣あてに、子宮頸がんワクチンの事業についての公開質問状(2011日消連第33号)を提出しております。その中でも述べましたように、この3ワクチン、とりわけ子宮頸がんワクチンには、有効性、必要性、安全性に問題があり、莫大な公費を使って子どもたちに接種を促進するべきではないと考えます。

ワクチン接種により、子どもの健康をまもるために保護者の負担軽減を図るということで、新しいワクチンである、子宮頸がん(ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(以下 子宮頸がんワクチン)、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン(以下 ヒブワクチン)、小児用肺炎球菌ワクチン(以下 肺炎球菌ワクチンといいます))が、ワクチン接種緊急促進事業の対象とされています(以下3ワクチンといいます)。

私たち予防接種について考える市民団体には、これらの次々に新しく導入されるワクチンについて、効果や副作用に関する不安の声が多く寄せられています。また、自治体の担当者からも、新規ワクチンやタミフルの備蓄に関する自治体負担の急増についての疑問の声が寄せられています。子宮頸がんワクチン接種による死亡事故や、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンや他のワクチンとの同時接種による死亡事故が発生していることはご承知のことと思います。

1 子宮頸がんワクチンワクチンの有効性が高いという証明はされていません

この事業を推進させた、予防接種部会の意見書(注1)では「HPV感染による子宮頸がんで死亡する女性も多い」「子宮頸がんは、新規の年間患者数約8,500人、死亡者数は約2,500人と国民の健康を守るという観点からも早急に対応が必要である。」されています。

確かに、子宮頸がんの発症率は1999年ごろから増加傾向にあります。しかし、注意すべきは、HPV感染を起しても、入り込んだ上皮細胞が剥がれ落ちれば大半のウイルスは消え、がん化しないということです。異形の程度の経過観察が必要なために検診の重要性が強調され、現時点では検診による早期発見がこの病気の有効な予防方法であり、ワクチンの有効性は検証されていません。

HPVの遺伝子型は100種類くらいあり、このうち、子宮頸がんと関わるハイリスクHPVは15種類です。現在認可・使用されているサーバリックス、ガーダシルは、主に16型と18型にしか対応していません。日本人に多いと言われる、52型58型33型を予防することはできません。ワクチンは2006年につくられたものであり、ワクチンを接種した女子が子宮頸がんにならなかったというデータは存在しません。世界的にも、死亡例を含む副作用が多数報告されており、公費負担して大規模に日本の中高生の女子に接種することは人体実験としか言いようがありません。

2 ワクチンの安全性は高いということについての情報が公開されていません

現在、3ワクチンによると思われる死亡例については、安全対策調査会、子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会の合同会議で、いずれも因果関係が否定されています。厚生労働省では、情報収集体制を整えるために、PMDA医療安全情報(注2)なども動員して副作用情報を収集、公開しています。その中身をみると、HPVについては、死亡例も含め、失神やアナフィラキシーショック、子宮出血、流産が報告されています。

2011年9月以降の副作用調査結果は2012年1月中に報告される予定ですが、その結果を踏まえて公費負担を議論すべきであると考えます。

3 同時接種を推進させる、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンについての公費補助は慎重にすべきです。

 両ワクチンは2か月齢以上5歳未満の子どもに接種することになっています。予防接種法上の定期接種や、任意接種のワクチンも多くある中で、接種スケジュールが過密化し、同時接種が進められています。

2011年3月、相次いで8名の接種者死亡(7名は3日以内)が確認されたため、一次的に中止、4月1日、何の安全性根拠もなく接種再開、現在に至っています。両ワクチンとも、他のワクチンに比べ、日本独自の製品ではないため、安全性には欧米の実績があったはずですが、合計9名の突然死の原因については不明のままです。

両ワクチンとも、免疫効果を高めるため、それぞれの菌膜の多糖たんぱく抗原にジフテリア蛋白とアルミニウムを結合させたものです。一種類でさえ強い免疫反応が起こるのですから、同時接種ではさらに強い反応がおこります。まずしばらくの期間は単独接種で経過をみるべきでした。我が国での安全性をきっちり確かめない段階から同時接種を推奨した厚労省の方針は間違っていたといえます。

両ワクチンについての必要性、有効性についてはここで論じることはしませんが、常在菌に対するワクチン接種についてのコストベネフィットについては十分な検証を行い、保護者に副作用を含めた正確な情報を提供したうえで、予防接種行政としてどのような補助をすべきか検討すべきであり、現状での事業延長は公費の垂れ流しと言わざるをえません。

4 不要かつ有害な公費負担を行わないことを切に要請します

野田総理大臣の消費税導入に不退転との決意表明が論議をよんでいる中、税と社会保障の一体改革というのであれば、まず、不要かつ有害な公費負担を中止すべきであると考えます。医療費の負担増による、高齢者医療制度の後退、年金受給の減額など国民の我慢は限界にきています。3ワクチンについては病気の怖さが強調されていますが、私たちの調査研究によれば、必ずしも莫大な交付金を拠出しておこなうようなものではなく、まして定期接種にする必要はないものであると考えます。ちなみに、これらの3ワクチンはすべて、海外メーカーによるワクチンであり、日本におけるこれらのワクチン購入費が高額であることはご承知のとおりです。

民主党政権のマニュフェスト違反がいわれる中、4次補正予算については、以上の点を考慮していただき、「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例基金の延長」は行わないよう強く要請いたします。

 

(注1)平成22年10月、厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会のワクチン評価に関する小委員会(部会長 加藤達夫)は、同予防接種部会において、新たに公的予防接種の対象とすべき疾病・ワクチンを含め、今後の予防接種のあり方全般について検討を行っている最中に、異例の意見書(以下 意見書)を提出しました。

この意見書に後押しされる形で、平成22年11月26日(補正予算成立日)から平成23年度末まで、国は、子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進臨時特例交付金として自治体に1085億円を交付しています。

(注2)PMDA(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)とは日本名、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のこと。PMDA医療安全情報は医薬品・医療機器等安全性情報として,これまでに収集された医薬品・医療機器に関連するヒヤリ・ハット事例や副作用・不具合報告等の中から,同様の事象が繰り返し報告されている事例や行政から発出された添付文書改訂等の通知などについて,医師・薬剤師・看護師・臨床工学技士等の医療従事者や人間工学分野などの専門家及び医薬品・医療機器製造販売業者の業界団体の意見を参考にして,安全に使用するために注意すべき点などを医療従事者に広く周知する情報であるとされている。

 

 

(連絡先)特定非営利活動法人日本消費者連盟(古賀)

    〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-9-19 アーバンヒルズ早稲田207

                        ℡03-5155-4765 fax03-5155-4767

 


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