日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも、人のいのちや健康を優先する世の中にしたいと活動しています。

【声明】能動的サイバー防御法案の廃案を求めます(2025年4月1日)

 

声明「能動的サイバー防御法案の廃案を求めます」

政府は、重大なサイバー攻撃を未然に防ぐとする「能動的サイバー防御」関連法案を今国会に提出しました。この法案は、他国への先制攻撃のサイバー版であること、国内外のインターネット情報の常時監視につながることから、憲法9条の戦争放棄、憲法21条の通信の秘密を侵害する可能性があり、廃案を求めます。

この能動的サイバー防御は、2022年12月に閣議決定した安保3文書の1つ、国家安全保障戦略に「導入する」と明記されていました。憲法9条の解釈において専守防衛に徹するとしてきた政府のこれまでの見解を転換し、敵基地攻撃能力(先制攻撃)を許したことに、この間、日本消費者連盟は撤回を求めて活動してきました。

能動的サイバー防御とは、他国からのサイバー攻撃を未然に防ぐために、攻撃側のサーバーに侵入して機能を停止させるなどの無害化措置を言います。この無害化措置は、ミサイルなど武器を使わず血を流さないけれど、相手の攻撃をくじくことを狙った先制攻撃にあたります。始まってしまえば、どちらが先に始めたのかわからないままにエスカレートしていくのが戦争です。血を流さない攻撃が、血を流す攻撃へと発展してしまう可能性も否定できません。

また無害化措置にいたるための日常的情報収集は、国内外のインターネット情報の常時監視につながり、通信の秘密の侵害を禁止する憲法に違反します。誰と誰がどうつながっているのかといった通信の秘密が保証されず、公権力に監視されていることが常態化すれば、市民活動の萎縮を招きかねません。政府は、収集対象となるのは海外通信に限られ、メール内容は見ないなどと説明していますが、それが守られる保証はありません。

これら日常的な情報収集や攻撃の無害化措置は、警察や自衛隊が対処することになっています。原則として第三者機関の事前承認を義務付けるとしていますが、例外的に事後承認も認めています。第三者機関の透明性がどこまで担保できるのか、事後承認が常態化しないのか、その歯止めは明らかになっていません。

すこやかないのちを未来につなぐことをモットーに、あらゆる戦争に反対し、市民的活動の自由を何よりも重視する日本消費者連盟は、この法案の撤回・廃案を求めます。

2025年4月1日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟