日本消費者連盟
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【回答】遺伝子操作食品の規制を求める公開質問状への消費者庁の回答(2024年7月31日)

 

2024年6月6日に消費者庁に送った「遺伝子操作食品の規制を求める公開質問状」に、7月31日付で回答がありました。残念ながら、この回答内容では私たちの懸念や疑問は払しょくできないため、消費者庁に意見交換会を申し入れています。

●消費者庁の回答

 

令和6年7月31日

特定非営利活動法人日本消費者連盟
共同代表 亀山 亜土 様
共同代表 佐々木 ミヨ子 様
共同代表 マーティン・フリッド 様
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
代表 天笠 啓祐 様

消費者庁
食品衛生基準審査課

遺伝子操作食品の規制を求める公開質問状への回答について

令和6年6月6日付け「遺伝子操作食品の規制を求める公開質問状と意見交換のお願い」でいただいた御質問について、以下のとおり回答いたします。

<質問1>ゲノム編集食品の開発過程における遺伝子の変化が、食品の安全性に与える影響をどのようにお考えですか。遺伝子破壊だけなら安全とする根拠は何ですか。
<質問1について>
ゲノム編集技術応用食品等のうち、外来遺伝子及びその一部が残存しておらず、自然界等で起こり得るような遺伝子変化を伴うものについては、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会(以下、部会という。)(※)での議論の結果、安全性もそれらと同等のものと整理されております。
(※)本年4月に食品衛生基準行政が厚生労働省から消費者庁に移管されたことに伴い、現在は消費者庁に食品衛生基準審議会新開発食品調査部会が設置されている。

<質問2>全ゲノム解析(改変部分の安全性評価を含む)と動物実験を、遺伝子組み換え食品とゲノム編集食品を含む遺伝子操作食品の安全性確認方法として検討していただけませんか。
<質問2について>
食品衛生法に基づき、遺伝子組換え食品等については、個別品目ごとに食品安全委員会の意見を聴いて安全性審査を行うことが義務付けられています。食品安全委員会により決定された指針においては、既存品種との比較において、組換えDNA技術により意図的・非意図的に新たに加えられる又は失われる形質に関して、評価を行うことが合理的であるという原則に立ち、基本的な考え方として、食品健康影響評価に当たっては、非意図的に余分な形質が付与されたり、既存の形質が失われたり又は修飾される可能性も考慮し、遺伝子組換え食品(種子植物)がヒトの健康に対し予期せぬ有害影響を与える可能性を最小限とするための十分な試験データ及び情報が必要であるとされています。また、試験データについては、必要に応じて原データの提出を求めることとされています。
外来遺伝子及びその一部が残存していないゲノム編集技術応用食品等の安全性については、質問1でお答えしたとおり整理されており、安全性審査の義務化はそぐわないと考えております。一方で、ゲノム編集技術応用食品等の利用実績、今後の科学的知見の充実、国際的動向等を踏まえ、必要に応じて仕組みの見直しを行うこととしております。

<質問3>外来遺伝子の残存だけに注目した区分をやめ、遺伝子操作そのものに注目して、遺伝子操作食品として包括的な規制をすべきではありませんか。
<質問3について>
ゲノム編集技術応用食品等の安全性については、質問1でお答えしたとおり整理されており、現時点では、外来遺伝子及びその一部の残存の有無に応じて異なる取扱いとしております。その他新たな方法によって作出される食品については、食品衛生の観点から考慮すべき事項や諸外国における取扱い状況等について情報収集の上、必要に応じて、規制の在り方について検討してまいります。

<質問4>ゲノム編集食品は今の制度で漏れなく届出がなされているとお考えですか。届出は義務化すべきではないでしょうか。届出の対象を全ての遺伝子操作食品に拡張すべきではないですか。
<質問4について>
ゲノム編集技術応用食品等の安全性については、質問1でお答えしたとおり整理されており、届出の義務化はそぐわないと考えておりますが、新しい技術によって得られた食品であることから、取扱要領において届出を求めているものです。その他新たな方法によって作出される食品については、食品衛生の観点から考慮すべき事項や諸外国における取扱い状況等について情報収集の上、必要に応じて、規制の在り方について検討してまいります。

<質問5>ゲノム編集生物の後代品種も届出対象とすべきではないでしょうか。
<質問5について>
ゲノム編集技術応用食品等の後代交配種については、部会での議論の結果、事前相談及び届出による情報があれば、安全性確保の観点からは、その後の育種である後代交配種に追加で届出を求める必要性は認められないとされています。一方で、ゲノム編集技術応用食品等の利用実績、今後の科学的知見の充実、国際的動向等を踏まえ、必要に応じて仕組みの見直しを行うこととしております。

<質問6>ゲノム編集食品の届出情報は、真に企業秘密に相当するものを除いて全て公開できませんか。
<質問6について>
届出された情報について、企業秘密の該非について適切に確認した上で公表しております。

以上