日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
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【回答】健康食品の規制について質問状に消費者庁から回答(2024年7月25日)

日本消費者連盟では消費者庁に健康食品の規制について質問状を送っていましたが、
https://nishoren.net/new-information/open_letter/19911
消費者庁から7月25日に回答がありました。日本消費者連盟はこれからも健康食品の規制を求めていきます。

 

日本消費者連盟の質問 消費者庁回答
1、紅麹サプリメントによる健康被害がモナコリンKによって起きた可能性を検討していますか。

紅麹食品の有効成分とされるモナコリンKは、医薬品のロバスタチンと同成分で、モナコリンKの目安量とロバスタチンの処方量がオーダーは変わらないことが指摘されています。ロバスタチンの副作用として腎障害や肝障害の悪化も報告されているようですが、紅麹サプリメントによる健康被害がモナコリンKによって起きた可能性をどのように検討されていますか。

小林製薬株式会社が製造した紅麹製品による健康被害に係る原因物質と、その発生機序の究明については、厚生労働省において取り組んでいるものと承知しております。
2、医薬品の成分が健康食品に使用されている事例を把握していますか。

紅麹サプリメントが機能性表示食品として登録されるにあたって、有効成分が医薬品成分であることを貴庁は認識されていましたか。有効成分が医薬品としても使われる成分であり、摂取量が処方量と大きく変わらない事例を他にも把握していますか。把握しているなら全て開示してください。

届出をしようとする食品の機能性関与成分が、「食薬区分における成分本質(原材料)の取扱いの例示」(令和2年3月31 日付け薬生監麻発 0331 第9号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)の別添1「専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)リスト」に含まれる場合を含め、当該成分本質(原材料)を機能性関与成分とする食品が、医薬品に該当しないことが不明確な場合は、届出確認時に消費者庁から厚生労働省に照会し、確認しています。
3、他の政府機関と連携していますか。

国民生活センターは、健康食品の危害情報を集約していますが、貴庁とはどのような頻度と内容で規制のための情報交換をしていますか。現在一部メンテナンス中となっていますが、国立健康・栄養研究所のデータベースには、健康食品の安全性と有効性情報が掲載されていました。貴庁はこの情報を健康食品の規制・指導に利用するなど、同研究所と連携をしていますか。他に健康食品の規制・指導のために連携をしている機関はありますか。

消費者からの消費生活相談につきましては、国民生活センターと各地域の消費生活センターとをオンラインネットワークで結んだシステム(全国消費生活情報ネットワークシステム、通称PIO―NET)に情報を集約しております。中でも危害・危険情報は事故情報データバンクに日々登録され、情報の共有が行われております。

国立健康・栄養研究所が公表している健康食品における素材情報データベース(有効性情報)については、現在、信頼できる公的な情報源として存在する唯一のデータベースとなっており、消費者、事業者、行政機関等へ安定的に情報提供を行う目的のほか、事業者が機能性表示食品の届出等において参考となるものであるところ、消費者庁では、当該データベースを運営するための経費を負担しております。

4、機能性表示食品の消費者の理解をどう認識していますか。

貴庁が毎年実施している消費者意向調査において、機能性表示食品と特定保健用食品について理解をしていない消費者が多数を占める結果となっています。特に、機能性表示食品を「表示されている効果や安全性について国が審査を行っている」と誤回答した割合のほうが、「事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示したものである」と回答した割合よりも多くなっています(令和4年度調査)。国によって「安全性が担保されている」と誤解され、消費者の利用につながっていることをどのようにお考えですか。

5月31日の「紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合」において、「紅麹関連製品に係る事案を受けた機能性表示食品制度等に関する今後の対応」として、政府の対応方針が取りまとめられ、以下のとおり公表しているところです。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/
benikouji/dai2/taiou.pdf

消費者庁は、この対応方針に基づき、①健康被害の情報提供の義務化や②機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置(GMPの要件化、表示方法や表示位置などの方式の見直し)③消費者教育の強化等について、検討を行っているところです。

当該見直しについては、食品表示法に基づく食品表示基準(内閣府令)の一部改正案として、6月27日に消費者委員会に諮問を行い、消費者委員会食品表示部会において審議いただき、審議の結果、改正案が適当である旨の消費者委員会からの答申を7月16日にいただきました。この際、併せて附帯意見及び(サプリメント食品に係る消費者問題に関する)意見を拝受したところです。

引き続き、早期の施行・公布を目指して手続を進めるとともに、附帯意見及び意見も踏まえ、今後、対応について適切に検討してまいりたいと考えております。

5、機能性表示食品制度の見直しは行ないますか。

機能性表示食品制度導入後、健康食品の市場が拡大し、健康食品による危害が増加したことを踏まえれば、機能性表示食品にはメリットよりもデメリットが大きいことは明らかです。機能性表示食品制度を廃止すべきと考えますが、貴庁は機能性表示食品制度の見直しを検討会答申に従った品質管理と事故情報提供のみで終わらせるのでしょうか。機能性表示食品制度の廃止を求める声をどのようにお考えですか。

6、健康食品の表示について、どのように把握していますか。

機能性表示食品を含む健康食品の表示(新聞の折り込み広告やテレビコマーシャルを含む)には、効果効能を示唆する内容を強く訴求し、消費者の健康不安を煽る宣伝をする一方で、過剰摂取や飲み合わせ等による健康被害の懸念については伝えないか、小さな字で伝える事業者が多く見られます。そうした健康食品の表示について消費者団体からも指摘がなされていますが、貴庁はどのような調査を実施し、現時点でどう把握し、どのように問題を認識していますか。

7、健康食品の成分と表示を規制すべきではありませんか。

かつて薬食区分によって食品の取り扱いと保健機能の表示は薬事法で厳しく規制されていましたが、1990年代以降、剤形も表示も規制緩和されてしまいました。健康作りの基本は栄養バランスのとれた食生活と適度な運動、十分な休息に求められるもので、健康に不安があれば医師の診察を受けるべきであることは、貴庁も認識されているところです。私たちは、大部分の健康食品は補助的にも利用すべきでないと考えます。規制緩和前の規制に戻すことが消費者の健康維持のために有益ではないでしょうか。健康食品が却って健康被害に結びついていることが明らかになっている現在、健康食品の規制を抜本的に見直すべきと考えられませんか。