日本消費者連盟
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子宮頸がんワクチン被害者が神奈川で記者会見

子宮頸がんワクチンと予防接種行政

「学校にも通えず、日常生活にも支障をきたすような神経症状が出ている・・・」2013年10月15日、被害者連絡会が神奈川で学習会と記者会見をしました。切実な訴えに対して、行政の対応はどうなっているのか、シリーズでお知らせします。

「激しい痛み」、「けいれん」、「学習障害」など、定期接種化されている子宮頸がんワクチン(以下、HPVワクチン)による副反応被害が相次いでいる事態を受け、2013年6月14日、厚生労働省は「積極的な接種勧奨を一時中止しました。日本消費者連盟とワクチントーク全国は10月15日、その後の行政の対応について、厚生労働省と文部科学省との質疑応答をしました(報告は追ってします)。同日の午後、被害の現状を訴える全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会(被害者の会)は神奈川県で、学習会と被害救済を訴える記者会見をしました。

痛みの研究班はだれの、何のため?

HPVワクチン接種による、さらなる被害の拡大を防止するため、厚生労働省はワクチン接種後の疼痛にのみ限定した研究班である厚生労働省慢性の痛み対策研究事業を2つ立ち上げました。 

1つは、①慢性の痛み診療の基礎となる情報の集約により高度な診療の為の医療システム構築に関する研究班(代表牛田享宏)、2つめは、②難治性神経因性疼痛の基礎疾患の解明と診断・治療制度を向上させるための研究(代表池田修一)です。これは、被害者の会が、副作用被害者への治療を求めていた要望に応えようとするものと解されますが、現実には、接種後膠原病やギランバレー症候群、免疫性疾患なども発症するなか、極限的な対策に過ぎず、研究対象とさるのみでは被害者の救済にはなり得ません。

これらの研究班は

①は「ワクチン接種との科学的関連性の有無にかかわらず、ワクチン接種後に重篤な副反応が認められた被接種者とそのご家族に対して、痛みに関する適切な情報と医療を提供することが健康の回復のために重要と考えています

②は「ワクチン接種との科学的関連性の有無にかかわらず、ワクチン接種後に重篤な副反応が認められた被接種者とそのご家族に対して、痛みの原因となりうる基礎疾患を検索し、同時に現在できうる最大限の治療を提供することが重要と考えていますとされています。

これらの研究班の意図するところは、現在接種後副作用に苦しんでいる子どもたちの救済には間に合わず、今後、定期接種としての「積極的勧奨」を再開するためのエクスキューズになりかねないのではないかと疑われます。

厚労省は①の慢性の痛み診療の基礎となる情報の集約により高度な診療の為の医療システム構築に関する研究班で、研究班メンバーが所属する信州大、北大、名古屋大、愛媛大、、山口大、鹿児島大を中心に全校17のペインクリニックを医療機関とNPO法人痛み医学研究情報センター(いたみラボ)が被害者の受診の窓口となるとしていますが、そこに至る被害者の負担すべき多額の費用の補償についてはなにも決められていません。

なによりも、接種により副作用が発生していることは歴然とした事実なのですから、「痛み症状に限定した研究班」を立ち上げるより先に、すべての症状を対象に副作用の実態を調査し、情報公開すべきです。

特に、今も積極的勧奨の意味が伝わらず、学校でも接種が進められている事実を、文科省も危機感を持って「接種しないよう」情報提供してくべきです

 

被害の実態に目を向け、全国に情報の発信を

まず、「定期接種化されたHPVワクチンの接種事業が中止されていない」ことを改める必要があります。

①打ちたい人の権利の尊重と

②定期接種化することで被害救済が厚くなることを理由に、

定期接種から外すことを決められない厚労省ですが、これ以上不要なワクチンを消化するために誤った制度を改めないことは、近い将来において、重い不作為責任を問われることを肝に銘ずるべきです。

被害の現状を訴える全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会は、4月の時点で厚生労働大臣に対し、HPVワクチン接種事業の中止と、被害者への救済、治療法の確立、HPVワクチン副反応の究明、HPVワクチン接種者の健康被害調査を求めていましたが、現段階において、これらの要望は実現されていないと言わざるを得ません。

厚生労働省によれば、2013年3月31日までにHPVワクチンを接種したのは328万人であるとされ、HPVワクチンによる副反応報告は、現在認可されている「サーバリックス」、「ガーダシル」の2種合計で1968件にのぼります。そのうち、重篤と判断されたのが878件あり、4月1日からの定期接種化によって、さらなる被害の拡大が懸念さるなかでの、積極的勧奨の差し控えであったはずです。被害の実態をみれば、安易な再開などあり得ない話ですが、産婦人科学会は再開を、自治体は早期結論を求めているとされています。

被害の拡大防止と、被害者救済を求め、同連絡会は横浜市役所で記者会見を開き、連絡会の「神奈川支部発足のための賛同人を募集する」と呼びかけ、賛同、支援の協力を訴えています。

日消連とワクチントーク全国も、行政の対応を注視しつつ、定期接種の中止をもとめ、被害者の掘り起しを進めていきます。

(共同代表 古賀 真子)


(参考)

神奈川県在住のHPVワクチン接種被害者家族の代表であるYさんは、被害者である娘さんが、病院に「精神疾患」と診断されたことを問題視しています。HPVワクチンの副反応に対する検査体制が不十分であり、検査・治療にあたる医療機関に被害の実態が理解されていない現状があることを訴えました。

こうした医療機関の「無理解」な現状は、全く改善されていません。HPVワクチン接種による被害者は、いまだその治療法が分からず、病院のたらい回し、不適当な診断、処方された薬の副作用、ワクチンとの因果関係を認めてもらえないなどの状況におかれているのです。Yさんは、「子どもたちは自分の死というものを考えて日々送っている」と、被害者が「自殺」を考えるなどの精神的二次的被害にも苦しめられている現状を、涙ながらに語られました。

さらに同連絡会は、厚労省がHPVワクチンの「積極的な接種勧奨の一時中止」を決定した後に、神奈川県の黒岩祐治知事が「神奈川県予防接種研究会」を発足されたことを挙げ、公表されている委員の名簿から判断すると、委員の選定の仕方に問題があるのではないかと指摘しています。同研究会に疑問と批判の声があがっていることが報告されました。

会見には、HPVワクチン接種被害者本人も2名が出席。「自分たちと同じように苦しむ人を出したくない」と、副反応被害の当事者として、深刻な被害の現状を多くの人に知ってもらいたいという意思で会見に出席した胸の内を明かしたそうです。

1時間程度におよんだ会見だったが、会見の中盤から、被害者本人には、HPVワクチンの副反応によるけいれん、極度の疲労、だるさなどの症状があらわれ、途中退席を余儀なくされたということです。

同日、記者会見の前には、同連絡会による勉強会が実施された。会では、HPVワクチンの有効性に関するあらゆる疑問が、改めて確認された。

また、同連絡会事務局長の池田としえ日野市議は、米CDC(アメリカ疾病予防管理センター)元長官が、日本で導入されているHPVワクチン2種のうちの1つ、「ガーダシル」を製造するメルク社のワクチン部門社長に就任した事実を例に出し、政府機関と大企業の「回転ドア」の関係を明らかにした。さらに、HPVワクチンも含む、あらゆるワクチンの導入には、外資の製薬会社の利権が大きく絡んでおり、「TPPの前哨戦だ」と批判の声をあげました。

1970年代からワクチンの導入に反対してきた、元国立公衆衛生院感染症室長の母里啓子さんは、「原発と同じように『安全神話』のもとでワクチン接種が広げられた結果、後始末もできないのに、推進派によってワクチン接種が再開されようとしている」と、ワクチン行政の失政を批判しました。

 

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