私たち日本消費者連盟は、政府が今国会で成立を図ろうとしているテロ等組織犯罪準備罪、いわゆる共謀罪に強く反対します。共謀罪はこれまで3度国会に上程され、いずれも廃案になってきました。それは、共謀罪が成立すると、憲法で保障されている表現の自由、集会・結社の自由など、自由と人権がすべて侵されてしまうことなるからです。
共謀罪は「内心の自由」を取り締まる法律です。実際に犯罪行為を行わなくても、そのことを心の中で考えただけで処罰されることになります。こんな法律が今国会で強行採決されるかもしれないという緊迫した状況にあります。安倍首相が、「これがないとオリンピックができない」と強行突破の構えを見せているからです。
この法律の対象となる犯罪は277に上ります。政府はテロ関連のものに絞り込んだと言っていますが、その中には会社法や種苗法などテロとはなんの関係もないものも含まれています。また、政府は一般の人が処罰の対象になることはないと言っていますが、国会で安倍首相は「正当な活動を行っている団体でも、性質が一変すれば対象となる」という見解を示しています。どういう行為が「正当な活動」なのか、「性質が一変した」と判断するのは誰なのかというと、すべて取り締まり当局です。この見解を当てはめると、たとえば日本消費者連盟のような市民団体も、盗聴や密告などで常時監視され、「性質が一変した」と当局が認定すれば捜査対象になります。
また処罰の対象となる「準備行為」とは、どのような行為を指すのかも曖昧です。メールやLINE(ライン)で、デモや集会の集合場所などを打ち合わせたりすることも「準備行為」とみなされる恐れがあるのです。
国会審議を通してこの法律の本質が明らかになるにつれ、市民の間に反対の声が広がっています。市民活動の自由を守るために、絶対に成立させてはならない法律です。
私たち日本消費者連盟は、当たり前のくらしを守るために、共謀罪成立を許さないことをここに表明します。
2017年3月2日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟