日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
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【宣言文】~世界食料デーにあたって~ 多国籍企業による食料支配に反対し、遺伝子組み換え食品のない世界を目指します

~世界食料デーにあたって~
多国籍企業による食料支配に反対し、遺伝子組み換え食品のない世界を目指します

 

 本日10日16日は、世界中から飢餓をなくすことを目的に定められた世界食料デーです。いま世界の農業・食料事情は悪化の一途をたどり、飢餓は収束どころか、拡大しています。その最大の原因は格差社会による貧困の広がりであり、それにともなって広がるナショナリズムの高揚や地域紛争の激増にあります。格差社会をもたらしてきた最大の原因が、多国籍企業による世界経済の支配です。各国間で締結が進む経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)などの自由貿易はその格差をさらに拡大するものでしかありません。

 農業・食料の分野では、多国籍アグリビジネスによる種子支配、そして食料支配が強化されています。最近では、モンサントとバイエルの合併、ダウとデュポンの合併、中国化工集団ケムチャイナ社によるシンジェンタ買収が大きな話題となりました。これらの多国籍企業が進める種子支配・食料支配によって、世界中の農家や消費者の生活、健康が破壊されています。種子支配の最大の武器が遺伝子組み換え作物です。ついに動物としては初めて鮭まで市場化させました。これらの企業は、遺伝子関連特許を押さえることで、種子や家畜や魚の受精卵を支配してきました。その支配を拡大するために、さらにゲノム編集やRNA干渉といった最新の技術を用いて新品種・新商品の開発を進めています。その新技術で開発されたナタネやジャガイモなどがすでに栽培・流通を始めており、その勢いは止まりません。

 多国籍アグリビジネスの支配が進行する中、今年4月、日本政府は主要農作物種子法(種子法)を廃止しました。種子に関する法律には2つあります。企業にとって重要な種苗法は強化し、農家や消費者にとって大切な種子法は廃止したのです。これにより多国籍企業による種子支配がさらに進む危険性が強まったといえます。

 多国籍企業による農業・食料支配は、市民の健康を破壊しつつあります。とくに子どもの健康が危うくなっています。米国小児学会が子どもの間で広がっているアレルギーや発達障害などの健康被害について、農薬が主要な原因だと認めました。とりわけ深刻なのが遺伝子組み換え作物で使用量が激増している除草剤グリホサートによる影響です。しかしながら日本政府は、毎月のように残留農薬の基準を緩和し続けており、今年7月にはグリホサートの残留基準も緩和に踏み切りました。農薬をなくしていくためにも、農業の在り方を抜本的に変えていくことが必要です。

 その変えていく力は、市民による国際的なつながりを基盤にした、小規模農家による有機農業や持続可能な農業の拡大、地産地消、産直の拡大です。それはまた平和なくして成り立たないものでもあります。私たちは世界食料デーのこの日に、多国籍企業による食料支配に反対し、農薬のない世界、遺伝子組み換え食品やゲノム操作食品のない世界、そして飢餓のない世界を目指して闘うことを、ここに宣言します。

 

2017年10月16日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン