日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
企業や国家の利益よりも人のいのちや健康を優先する世の中に変えたいと活動しています。

2017年6月号「暮らしを脅かす巨大な太陽光発電 」

良い技術も悪い技術に
——原発はもちろん火力も水力もだめ。自然エネルギーにも問題があるとなると、これからのエネルギーをどう賄ったら良いのでしょうか。
フリッド 長く見れば自然エネルギーにシフトせざるを得ないと思います。石炭や石油はCO2を排出し、いずれ枯渇します。太陽光パネルも人家の屋根に設置するくらい小規模であれば良いのでしょうが、大規模化すると良い技術も悪い技術に転化してしまう。何でも規模拡大することには注意が必要だと思います。
大野 まず省エネです。これ以上のエネルギーは必要ないという社会を展望することが大切です。今まで同様のエネルギー浪費社会を前提にして、いくら自然エネルギーにシフトしても意味はない。このままで行くと新たな“自然エネルギームラ (利権)”の術策にはまるのではと危惧しています。
(司会・まとめ 杉浦陽子)


あなたも払っている再エネ費用
毎年上がって今年は1万円近く

電気料金を支払う人には等しく自然エネルギー普及の費用負担がかかっているのをご存じですか? 「再生可能エネルギー発電促進賦課金」といって、 太陽光、風力などの自然エネルギーの電気を、発電事業者から電力会社が買い取るための費用、これを「受益者」である消費者が支払うことを義務付けたものです。単価は全国一律で金額は使用量に比例します。
固定価格買取制度がスタートした2012年から電気料金に上乗せされ、単価は毎年引き上げられています。当初の標準家庭の年額は約800円でしたが、2017年は1万円近くにも膨れ上がっています(下表)。電力多消費事業者については、一定の要件を満たすと減免措置があり、個人家庭との不公平感は拭えません。
再生可能エネルギーの8割を占めるのが太陽光発電です。この買い取り価格は、当初ソフトバンクなど大手企業の要望から、10キロワット以上の産業分野で1キロワット時42円と高値で設定され、それが20年も続く“濡れ手に粟”の太陽光バブルを生んだのです。その費用をなぜ消費者が肩代わりしなければならないのかと疑問が湧きます。
この再エネ賦課金を払いたくないと不買運動をしているのが、市民運動家の山田さんです。新たな“自然エネルギー利権”を指摘する山田さんは、「巨大電力会社による自然エネルギー促進は、原発事故前から計画されていた。原発事故を利用して今度は自然エネルギーで儲けようというもの。原発を温存させながら、新たな列島破壊の国策を進めようとしている」と語ります。