1979年3月28日、アメリカで起きたスリーマイル島原発事故の衝撃は日本にも及び、反原発運動が盛り上がりましたが、それは原発建設予定地など地域が中心でした。マスコミも原発問題を地域の問題に限定して伝えて、全国的な取り組みとしては伝えませんでした。
1986年4月26日、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故が起きた際、さらに大きな衝撃が日本にも及びましたが、同様に事故そのものが反原発運動を大きく拡大したわけではありませんでした。放射能の雲が日本にもやってきて、食べものを汚染してから、反原発のうねりは全国に波及し、大きな潮流になりました。
食べものの汚染は、内部被曝をもたらし、妊婦や子どもへの影響が大きく、時には次世代までその影響が伝えられてしまうからです。消費者運動が反原発運動を大きな潮流にしたといっても過言ではありません。福島第一原発事故は、同様の問題を、さらに深刻な形でもたらしました。
しかし、アメリカでも旧ソ連でもない日本で起きた事故は、別の側面をもたらしました。チェルノブイリ原発事故では、生産者も消費者も共通の課題として放射能汚染に立ち向かい、反原発運動に取り組むことができました。しかし、福島第一原発事故は加害者が東京電力であり、原子力を推進してきた政府であることは間違いないものの、放射能が広範に農地や海を、しかも深刻に汚染したため、生産者と消費者が分断されてしまったからです。私たちは、40年以上も日本で事故を起こさせないために原発廃絶を求め運動してきました。事故が起きてしまった時のことは、誰も考えていなかった、といってよいと思います。
買うだけの運動ではなく、私たちにとって最大の課題は、東京電力や政府の責任を追及し脱原発を実現すること、子どもたちを守っていくことですが、この汚染した作物をあいだに分断された生産者と消費者の関係をどうするか、同時に考えていかなければならない大きな課題として突き付けられています。
これまで消費者運動は、買うだけの運動ではなく、積極的に生産者を支え、日本の農業・漁業を守るために産直・提携・地産地消を運動として進めてきました。それが危機に瀕しています。どのようにしたら安全で安心できる食べものを手に入れられるかという課題と同時に、いかにしたら生産者を支えることができるのか、それが問われています。
より強固な生産者・消費者のつながりは、どうすれば可能か。それを考えるシンポジウムを開催します。ぜひ多くの方に参加していただき、日本の食と農の今後について実りのある議論にしたいと思っております。
天笠啓祐(日消連共同代表)
日時:2013年1月19日(土)13:30~16:30(開場13:00)
会場:文京区民センター A会議室(2階)
地図: http://www.cadu-jp.org/notice/bunkyo_city-hall.htm
参加費:800円
■パネリスト:
- 大野和興さん(農業ジャーナリスト)
- 天明伸浩さん(新潟の生産者)
- 石毛恵美さん(山梨の生産者)
- 伊藤書佳さん(消費者)
■コーディネーター:
- 天笠啓祐(日消連共同代表)
■主催:日本消費者連盟
お申込み・お問合わせ:
- 電話:03-5155-4765
- Eメール:office.j@nishoren.org(迷惑メール防止のため@を全角にしてあります)