日本消費者連盟
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監視社会をもたらす「テロ等組織犯罪準備罪」に反対します

 さる8月26日、「政府はテロ等組織犯罪準備罪の国会提出を検討」との報道がメディアを通して流れました。市民の反対によって、これまで3度廃案になった共謀罪の名前を変えて、秋の臨時国会に「組織犯罪処罰法改正案」として提出するというのです。

 私たち日本消費者連盟は、一貫して共謀罪に反対する運動を進めてきました。犯罪が成立するには、具体的に犯罪行為に着手したり、被害が生じたりした場合に限られます。しかし、共謀罪が成立すると、複数の人が犯罪を行うことを話し合って合意したとみなされれば、罪に問われることになります。

 こうした法律が一度成立すると、運用次第で拡大解釈が可能になります。市民の権利として憲法で定められている表現の自由や思想・信条の自由、労働者の団結権は大きく損なわれることになるでしょう。まだ何も起こっていないことを犯罪とするのですから、そのことを立証するために取り締り当局による盗聴行為など市民に対する監視が当たり前に行われる可能性があります。

 現在政府が準備している「テロ等組織犯罪準備罪」は、名称を変えただけで、これまで廃案になった共謀罪法案と基本的に何ら変わりはありません。以前の法案で、対象を「団体」としていたのを「組織的犯罪集団」と変えたり、単に犯罪の計画を話し合うだけでなく、準備行為をした場合、というものを犯罪構成要件に付け加えるなど、一定の制約を加えたかに見えますが、適用される犯罪の範囲は「4年以上の懲役・禁固刑が定められている犯罪」ということで変わっていません。さらに、罪となる行為は600以上に拡大し、道路交通法や公職選挙法も対象となります。人びとの日常生活に直接かかわる600以上の法律が対象になるのですから、例えば町内会で選挙対策を話し合って、そのことが買収行為につながったと見なされれば、町内会が「組織的犯罪集団」とされる可能性もあります。

 政府はこの法案を提出する理由に、2020年の東京オリンピックを見据えたテロ対策強化を上げています。オリンピックを持ち出せばなんでも通るとでも考えているのでしょうか。私たち日本消費者連盟は、市民の基本的権利をおびやかし、監視社会をもたらす「テロ等組織犯罪準備罪」にあくまで反対し、共謀罪を廃案に追い込んだ運動を継続することをここに明らかにします。

 

2016年9月1日
特定非営利活動法人日本消費者連盟

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