日消連は2019年7月22日、厚生労働省のパブリックコメント「ゲノム編集技術応用食品等の食品衛生上の取扱要領(案)」及び「届出に係る留意事項(案)」について、以下の意見を提出しました。
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1、定義において「ゲノム編集技術とは、(中略)定義する。なお、最終的に、外来の遺伝子及びその一部を含む場合は組換えDNA技術に該当するものとする。」とあるが、この定義には反対である。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会新開発食品調査部会の報告書(以下、調査部会報告書)では、DNAを切断して遺伝子を壊すだけでなく、数塩基の追加や脱落などについても、自然界で生じているとか、突然変異を誘発する従来の育種技術で得られる変化と同じだとしているが、これはとても乱暴な見解であり、消費者として受け入れることはできない。最後の一文は「塩基の欠失、数塩基の置換、さらには1~数塩基の変異が挿入された場合、外来の遺伝子及びその一部を含む場合もすべて組換えDNA技術に該当するものとする。」とすべきである。その主な理由を以下に述べる。
理由:ゲノム編集は、遺伝子を改造するという点において、遺伝子組み換え以上に危険な技術であり、ゲノム編集食品が我々の食生活に入り込むことによる影響は計り知れない。ゲノム編集を行った生物では、オフターゲットやモザイクといった、予期しない遺伝子や細胞の改変が起きている。ところが、調査部会報告書では、オフターゲットなどの影響が過小評価されている。オフターゲットの完全な解析は現状では難しいことを同報告書でも認めている。そうであるなら、拙速にゲノム編集食品を市場に流通させるべきではない。最低でも遺伝子組み換え技術と同様の安全性評価を課すためにも、定義を修正すべきである。
2、生命の仕組みや遺伝子の働きなど、生命現象に関してはまだほとんどわかっていないと言える。すべてのゲノム編集技術を応用した作物や家畜、食品について、遺伝子組み換え技術と同様、安全性評価を行うよう求める。ついては、食品衛生法上での取り扱いについて最初から検討をやり直すことを求める。
以上