日本消費者連盟
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【申入れ】農薬取締法に基づく「登録拒否基準」に農薬の補助成分30物質を掲載して使用禁止にする省令案に関する申し入れ(2022年10月20日)

2022日消連第9号
2022年10月20日

農林水産大臣 野村哲郎 様
農林水産省消費・安全局農産安全管理課 御中

特定非営利活動法人 日本消費者連盟
共同代表 亀山亜土
共同代表 佐々木ミヨ子
共同代表 マーティン・フリッド

 

農薬取締法に基づく「登録拒否基準」に農薬の補助成分30物質を掲載して使用禁止にする省令案に関する申し入れ

 

私たち日本消費者連盟は、食と農の安全、暮らしの安全・安心を求めて活動している消費者団体です。このたび貴省が示し、意見募集(パブリック・コメント)を行った「農薬取締法第四条第一項第十一号の農林水産省令・環境省令で定める場合を定める省令」(2022年10月12日締切)について、いくつか問題があると考え、以下のように再考、改善等を申し入れます。

 

1、今回提案されている農薬の補助成分30物質を「登録拒否基準」に入れる提案について

(1)今回提案されている農薬の補助成分30物質について、「全重量の0.1%以上含まれている場合」としていることには反対です。いずれも「検出されてはならない」と、少量での使用も禁止することを要求します。

(2)施行期日「令和7年10月1日」に反対します。3年後の施行では、現在出回っている農薬(製剤)にこうした30物質の補助成分が含まれるものがあるにもかかわらず、そのまま出回ることになります。これにより製造業者や販売業者による「売り急ぎ」が起こりかねず、毒性を有する補助成分を含んだ農薬と知りながら、継続して使われることになります。省令成立後速やかに施行すべきです。

(3)これらの補助成分30物質を「登録拒否基準」に入れることと併せて、現在販売・使用されているこれらを含む農薬にもこの登録拒否基準を適用し、これら30物質を含む農薬すべてを、速やかに「使用停止」「使用禁止」の措置を採ることを要求します。それにより、直ちに市場から回収、そして農家在庫等も含めた使用を停止させるべきです。毒性があるとわかった補助成分を含む農薬が、田畑、環境(農薬は大気汚染、土壌汚染、河川・湖沼・海の汚染を引き起こす)に放出され続けることは、断じて認められません。これらの補助成分を含む農薬(製剤)自体の全面的な使用禁止措置を速やかに採るべきです。

(4)「経過措置」の削除を要求します。「経過措置」として施行期日までは従前の通り登録が可能であるとし、これらの禁止となる補助成分を用いた農薬であっても登録することが可能であり、その有効期限(概ね5年といわれる)までは販売も使用も可能になることに、反対します。5年の猶予のある経過措置では、発がん性などの毒性のある30物質の補助成分を含んだ農薬が、これからほぼ5年間にわたり販売され、使用され続けることになります。これらの30種類の補助成分には、発がん性や慢性毒性、環境ホルモンのように微量でも影響を及ぼす毒性があることを否定できません。経過措置なしで直ちに施行すべきです。

(5)現在市場に出回っている(農家保持分を含む)30物質の補助成分を用いた農薬(製剤)の「商品名」を一覧表にして速やかに公開することを要求します。現在の農薬の容器包装の表示には、補助成分については「種類と量」のみが記載されているだけです。種類として「界面活性剤」や「乳剤」などという記載では、これら30物質の毒性のある化学物質が含まれているのかどうか、判別がつきません。これらの30物質を含む農薬(製剤)の商品名は何か、これを使う農家(農業者、農業事業者)をはじめ非農耕地での使用者、家庭菜園者、農薬散布地周辺住民など、農薬使用の際に曝露する恐れのある使用者・実需者・消費者市民の「知る権利」、「選択する権利」、ひいては「安全である権利」が保障されるよう、該当する農薬(製剤)の商品名一覧表の作成・公開を求めます。

(6)併せて、該当する農薬(製剤)には、その旨の「警告表示」を義務付けることを要求します。

(7)上述(6)(7)を活用し、これらの回収・使用停止を促す行政指導を徹底強化することを要求します。

 

2、今後の「登録拒否基準」のあり方及び農薬見直しについて

(1)今回提案されている農薬の補助成分30物質は、発がん性などきわめて高い毒性を有する物質を科学的データを基に「登録拒否基準」に入れて使用禁止にするものですが、補助成分は約1200物質もあるとされています。30物質以外の補助成分についても早急に毒性を調べ、比較的高い毒性や中程度の毒性を有する物質については速やかに「登録拒否基準」に入れる措置をとることを要望します。

(2)「農薬の登録申請において提出すべき資料」(令和3年8月17日)において、「人に対する影響に関する試験成績」として提出すべき資料は、依然として農薬原体のうち「有効成分」に関するものが中心で、「農薬(製剤)」としての全体の毒性については、急性毒性など限定的です。「補助成分」についての試験成績の提出は求められていません。今後は、補助成分の毒性にも注意を払った、農薬(製剤)の慢性毒性、発がん性、神経毒性、発達神経毒性などの試験成績を提出資料に含めるよう要求します。

(3)本来、食べものをつくる栽培過程で防毒マスクが必要になるような薬剤を使うべきではありません。農薬を必要資材としない農業体系である有機農業の拡大普及をいっそう図ること、他方、ネオニコチノイド系農薬や有機リン系農薬など、すでに健康影響を示す科学的根拠があり、使用禁止が示唆されている多くの農薬については、予防原則の考え方を積極的に採り入れ、危険度の高い農薬、環境ホルモンの恐れのある物質を含む農薬、神経毒性の認められる農薬などを使用禁止・使用停止にしていくことを望みます。この問題で専門家の立場から科学的データに基づいた警告を発している次の論文等を参照してください。

参考資料:岩波書店「科学」2022年8月号「農薬製剤に含まれる補助剤の毒性」(遠山千春、木村-黒田純子、星信彦)、岩波書店「科学」2022年3月号「農薬の安全性とリスク評価」(遠山千春、木村-黒田純子、星信彦)

以上

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