日本消費者連盟
すこやかないのちを未来へ
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【声明】第7次エネルギー基本計画の閣議決定に抗議する声明(2025年2月21日)

 

7次エネルギー基本計画の閣議決定に抗議する声明

2025年2月18日、政府は原発推進政策への回帰を掲げた第7次エネルギー基本計画を閣議決定しました。

2021年の第6次基本計画では、2050年カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー政策の道筋を示すことが重要なテーマとされており、再生エネルギーを主電源として位置付けて、電源構成中36-38%に引き上げるとし、原発については2014年以降の方針を踏襲して「可能な限り低減する」とされていました。

ところが、今回の第7次基本計画においてはこの文言を削除し、2040年度の電源構成見通しでは原発を2割程度活用するとしています。これは、この間強引に進めている原発の再稼働を正当化し、さらに、建て替えや次世代革新炉の開発を進めるものです。昨年末から1カ月実施されたパブリックコメントには過去最多となる4万1,421件の意見が寄せられ、原発活用への回帰に否定的な意見が多数提出されています。

2011年の東京電力福島第一原発事故により、いわゆる「安全神話」が完全に崩壊するとともに、東京電力経営陣が津波の危険性を事前に承知していたにもかかわらず、それを放置したことによる「人災」であることも明らかになっています。

福島原発事故後、電力需要の30%近くを賄っていた原発は全面停止となりましたが、絶対的な設備容量は足りており、電力需要に支障を来たしたことはありませんでした。

スリーマイル島原発事故、チェルノブイリ原発事故、そして福島第一原発事故を顧みれば、原発と共存できないことが世界中で共通に理解されることとなりましたが、とりわけ地震国・日本においてはあまりに明白です。

生産力至上主義的発想のもとで経済成長を追求してグローバル化した現代社会は、地球が有限であることをはっきりと自覚しないといけないときを迎えています。大量生産・大量消費・大量廃棄社会そのものを抜本的に見直すことが必要です。しかし、基本計画では人工知能(AI)の普及などで電力需要が増加するとして原発拡大を企てています。

私たちは、今こそ、経済成長を至上命題とすることなく、新たなパラダイムによって、各々が「身の丈に合った」生き方を希求すべきです。

日本においても各地域のさまざまな取り組みによって、パワーシフトが浸透しつつあります。このような地域の力によって、脱原発・自然エネルギーへのシフトは、遅ればせながら日本においても確実に進展しています。

「すこやかないのちを未来へ」をかかげる日本消費者連盟は、原発推進政策への回帰を推進する第7次エネルギー基本計画の閣議決定に強く抗議し、この決定の撤回を要求します。

2025年2月21日
特定非営利活動法人 日本消費者連盟