【編集委員ブログ】大切なのは「子どもの都合」(2018年5月24日)
「子どもたちの食べものを守りたい」という母親たちが集まってつくったネットワークがあります。食べもの変えたいママプロジェクト、通称「食べママ」。きっかけは、昨年3月に来日したゼン・ハニーカットさんの「危険な食べものから子どもを守れるのは私たち母親よ!」の一言でした。ゼンさんは米国で「Moms Across America(全米のママたち)」という団体を立ち上げ、遺伝子組み換え食品反対運…
【編集委員ブログ】台北ドーム顛末記(2018年5月12日)
台湾に行く機会がありました。台北の中心部に工事が中断したまま、鉄骨を風にさらした巨大なドームがありました。周りを高いフェンスに囲まれ、異様な姿をさらした巨大廃墟です。完成すると野球などが行われる「台北ドーム」になる予定でした。ショッピングモールも併設され、賑わうはずでしたが、いま工事は行われていません。 計画には無理がありました。ただでさえ地盤が弱いところに、「まず建設ありき」で工事…
【編集委員ブログ】かこさとしさんの絵本「たねからめがでて」(2018年5月10日)
絵本作家のかこさとしさんが亡くなられました。こどもたちにとても素敵な絵本をたくさんプレゼントした92年の生涯でした。各紙とも大きく取り上げています。代表作として共通してあげているのは、「からすのパンやさん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」です。 しかしぼくにとっての代表作は、科学者でもあるかこさとしさんの「かがくの本」のひとつである「たねからめがでて」です。この本を読んで種好きになった…
【編集委員ブログ】置いてけぼりの日本(2018年5月1日)
韓国と北朝鮮の歴史的な首脳会談では日本は完全に置いてけぼりをくいました。圧力の必要性を強調するばかりでは、外交は立ち行かないことを証明した格好です。それはさておき、遺伝子組み換え問題でも日本は置いてけぼり状態です。 日本では、食品に遺伝子組み換え原料を使っていても、表示義務が課せられているのは原料全体に占める割合が上位3位まででかつ全重量の5%以上のものに限られています…
【編集委員ブログ】特許室(2018年4月23日)
1970年代、企業の技術者になった私の知人・友人の多くが特許室に配属させられました。これは左遷を意味していました。その部屋では、時間を持て余す日々が続いたといいます。ガラッと変わるのが1980年代です。米国政府が国家戦略に知的所有権を掲げたからです。日米間で紛争が激発します。例えば光ファイバー、オートフォーカス技術などの特許の分野、コンピュータ・ソフトなどの著作権の分野で、日本企業が…
【編集委員ブログ】工場野菜のほうが安全で環境に優しい?(2018年4月16日)
日本経済新聞の電子版に「あなたも食べてる工場野菜」というコラムが載っていて、興味に駆られて読んでみました。工場野菜とは、野菜工場で育てられた野菜のことです。野菜工場とは、お日様が照り、雨が降り、風が吹く外界と処断した空間で、太陽光の代わりに発光ダイオード(LED)照明などの人工光で野菜を育てる工場のことを言います。ここでは空気の流れも遮断されます。 この記事は日本政策金…
【編集委員ブログ】矛盾は矛盾として(2018年4月2日)
消費者リポート3月号は、「忘れつつある人たちへ 原発事故による健康影響はこれから」という特集でした。自然と忘れてしまった人も、忘れさせられている人も、忘れるしか方法がなかった人も、どれも1人の人間の中にあるものとして取材をしました。そういえばという人も、何で今さらという人も、煽るな蒸し返すなという人も、いることを承知しています。 科学的に証明されていないことに文句を言う…
【編集委員ブログ】そこまでして食べたいですか?(2018年3月26日)
照射ジャガイモを知っていますか? ジャガイモの芽が出ないように、放射線を照射したもので、端境期の2~5月頃に出回ります。ただ、照射ジャガイモの流通実態はよくわかっていません。そこで、日本消費者連盟も参加する「照射食品反対連絡会」(※)は照射ジャガイモを見つけたら連絡会に通報するよう呼びかけています。 日本は食品への放射線照射を原則、禁止していますが、唯一の例外としてジャガイモの芽どめ…
【編集委員ブログ】絶対表示の掟破り(2018年3月19日)
食品表示には、絶対表示と呼ばれるものがあります。その代表が「無塩」や「無糖」です。それだけ見ると、塩分が入っていない、糖分が含まれていないと思ってしまいます。しかし、実際はそうではありません。無塩あるいはナトリウムレスの場合は、塩分が100g(100ml)あたり5mg未満まで認められています。無糖も同様です。糖分が100g(100ml)あたり5mg未満まで認められています。カロリーゼ…
【編集委員ブログ】種を制度と経済だけで語ることへの違和感(2018年3月16日)
昨年2月に主要農作物種子法(以下、種子法)が廃止されて以来、種子を巡る論議がとても盛んです。種子法廃止は農や食のあり方に関わる大事な問題で、論議が巻き起こること自体はとても喜ばしいことなのですが、いくつかの点で違和感も覚えています。 種を巡っては、これまで多くの個人やグループが伝統種の採取や保存に取り組み、現実の農業生産に貢献するなど成果をあげています。ところが今盛り上がっている種子…